ビザの更新や資格変更が不許可になったという通知を受けたものの、航空券が取れない、体調が悪いといった事情で、通知に書かれた日までにどうしても出国できそうにないなら、出国期限の猶予を申請できます。在留期間そのものが間もなく終わるのにすぐには出国できない場合は、出国のための在留期間延長が合う制度です。名前が似ていて紛らわしいのですが、対象も申請書も違います。それぞれがどんなときに使われ、どう申請し、その期間が後の在留審査でどう扱われるのかを、順に説明します。
要点
- 出国期限の猶予は、不許可通知・出国勧告・出国命令で出国期限を受けた人が、やむを得ない事由で期限内に出られないときの制度です。
- 出国のための在留期間延長は、許可された在留期間が終わる人が、出国する船舶などがない、またはやむを得ない事由で出国できないときの制度です。
- どちらも事由を示す資料を添えて申請し、許可するかどうかは官署が審査します。申請すれば自動的に認められるわけではありません。
- 認められた期間は、資格変更・永住の審査で在留期間として扱われないことが多く、その間は資格変更が制限される場合もあります。
1. 出国期限はどう決まるの?
猶予を理解するには、まず「出国期限」がどこから出てくるのかを知る必要があります。在留資格の付与・変更・期間延長を不許可にするとき、官署は所定の書式でそれを通知します。この書式には、発行日から14日を超えない範囲で出国期限を明記することになっています。ただし法務部長官が必要と認めれば、すでに許可された在留期間の満了日を出国期限とすることもでき、これまでの資格のまま滞在させる場合は出国期限を書かないこともあります。
出国勧告は発行日から5日の範囲で、出国命令は法務部令に従って出国期限を定めます。期限がこれだけ短いと、航空便や体調、引っ越しの片付けといった現実の事情とぶつかることがよくあります。
2. 出国期限の猶予が受けられるとき
対象は三つのグループです。在留資格付与などの不許可決定の通知を受けた人、出国勧告を受けた人、出国命令を受けた人。この人たちが出国する船舶などがない、病気その他やむを得ない事由で、期限内に出国できないことが明らかなとき、出国期限を猶予してもらえることがあります。
申請は、事由を疎明する資料を添えた出国期限猶予申請書を、管轄の出入国・外国人官署に提出して行います。外国人保護所にいる場合は、保護所長が窓口になります。
ここで「明らか」という言葉が引っかかります。「事情があります」だけでは足りず、診断書や入院確認書、航空便がないことを示す資料のように、外から見ても出られない理由が分かる資料が必要です。
猶予の期間は事由によって変わります。出国する船舶などがない場合は、出国予定人数や運航状況を考慮して法務部長官が別に定める期間まで、病気のようにそれ以外の場合は、その事由がなくなるまで猶予できます。つまり「何か月」という数字が決まっているのではなく、事由に連動します。
3. 出国のための在留期間延長を使うとき
この制度は、許可された在留期間が満了する人が対象です。法令が挙げるのは二つの場合です。
- 外国人登録をした人が、その在留資格の活動を終え、国内旅行などの目的でしばらく滞在したい場合
- 出国する船舶などがない、またはその他やむを得ない事由で出国できない場合
申請は、在留期間延長許可申請書に事由を疎明する資料を添えて官署に提出します。延長する期間が30日を超えるときは法務部長官の承認が必要なので、その分時間がかかることがあります。こうした事情があるなら、満了日の直前ではなく余裕を持って動くのが得策です。
通常の在留期間延長とも違います。通常の延長は滞在を続けて活動を続けるための制度ですが、これはあくまで出国するための延長です。だから、その後の審査での扱いも変わってきます。
4. 二つの制度の違い
| 区分 | 出国期限の猶予 | 出国のための在留期間延長 |
|---|---|---|
| 対象 | 不許可通知・出国勧告・出国命令で出国期限を受けた人 | 許可された在留期間が満了する人 |
| 事由 | 船舶などがない、または病気などやむを得ない事由で、期限内の出国が不可能なことが明らか | 活動終了後の国内旅行などでの一時滞在、または船舶などがない等やむを得ない事由 |
| 申請書 | 出国期限猶予申請書+疎明資料 | 在留期間延長許可申請書+疎明資料 |
| 期間 | 船舶などがなければ法務部長官が定める期間まで、それ以外は事由がなくなるまで | 30日を超える場合は法務部長官の承認が必要 |
5. 受けた期間は後の在留審査でどう扱われる?
実務でいちばん見落とされやすいところです。出国のために受けた期間なので、後の審査では通常の在留歴として扱われないことがあります。
- その他長期(F-2-99)への変更:在留期間を合算するとき、出国のための延長許可期間と出国期限猶予期間はどちらも除かれます。不法残留の期間、出国勧告・出国命令の期間も同様です。また、この二つの期間にいる人は、在留資格変更を抑制する対象としても書かれています。
- 永住申請:国内在留期間を数えるとき、延長期間と猶予期間は出国期間として計算されます。
- 国民の配偶者(F-6-1)への変更:出国のための在留期間延長許可を受けた人は原則として資格変更ができず、出国期限猶予を受けた人も変更の対象ではないと書かれています。この場合は出国して在外公館でビザを受け、入国し直す必要があります。ただし、妊娠・出産や夫婦の間に生まれた子の養育などで、国内での変更がやむを得ないと判断されれば、審査を経て変更できる例外があります。
- 婚姻断絶者(F-6-3)への変更:出国のための在留期間延長許可を受けた人は制限対象に含まれます。
- 地域優秀人材(F-2-R)・地域特化熟練技能人材(E-7-4R)の同伴家族の変更:延長許可や猶予を受けた人は制限されます。
つまり「とりあえず猶予や延長を受けておいて、その間に資格を変えればいい」という計画はうまくいきにくいです。韓国で暮らし続ける方法を探しているなら、この制度を使う前に、ほかの道がないかを先に確認したほうがいいです。
6. 難民申請者と猶予、一点だけ
難民申請者(G-1-5)の国内出生の子がその他(G-1-99)の資格を受けるには、親が合法的に滞在していなければなりません。このとき、親である難民申請者が出国期限の猶予を受けている人であれば対象外と書かれています。また、賃金未払いで労働官署の仲裁中の人(G-1-4)は6か月の範囲で延長されますが、出国期間の猶予を受けた人は3か月の範囲で延長されると案内されています。猶予中の人は、同じ資格でも基準が変わるということです。
7. 期限を過ぎるとどうなる?
申請もできず日付を過ぎてしまうと、状況が変わります。
- 在留期間が終わったのに延長許可なく滞在を続ける場合:法律は在留期間が終わる前に延長許可を受けるよう定めており、違反して滞在を続けると3年以下の懲役または3,000万ウォン以下の罰金の対象です(2026年10月時点、第94条第17号)。強制退去事由の一覧にも入っています。実務では犯則金につながることが多いので、在留期間の延長を逃したときの犯則金ガイドに別途まとめました。
- 出国命令を受けて指定の期限までに出国しなかった場合:遅滞なく強制退去命令書を発付しなければならず、預けた履行保証金(2,000万ウォン以下で定められます)の全部または一部が国庫に帰属することがあります(2026年10月時点、第68条第3項・第4項)。
- 出国勧告を受けて履行しなかった場合:出国命令の対象になることがあります。
自主出国そのものの損得は外国人の自主出国ガイドで扱っているので、ここでは重ねません。大事なのは一つ、期限が過ぎた後ではなく過ぎる前に、事由の資料とともに申請しておくことです。すでに期限を過ぎたなら、先延ばしにせず官署に状況を確認してください。不許可通知の出国期限を過ぎた場合にどんな処分が続くかは、通知の内容や個別の事情によって変わるため、一律にはお答えしにくいです。
8. 申請前に整える順序
- 通知書や許可証に書かれた期限を日付で書き出します。出国期限なのか、在留期間の満了日なのかを先に分けると、どの申請書を使うかが決まります。
- 出られない理由を資料にします。診断書、入院書類、航空便がないことを示す資料、家族の事情の証明などです。
- 期限が過ぎる前に管轄の官署へ提出します。延長が30日を超えそうなら、承認にさらに時間がかかることも見込んでおきます。
- その後の滞在計画を別に点検します。前に見たとおり、資格変更や永住の審査に影響が出ることがあります。
9. 行政士にお任せいただけること
サンシャイン行政士事務所(선샤인행정사사무소)は、出国期限猶予申請書と在留期間延長許可申請書の作成・提出代行、出られない事情を説明する疎明書・意見書の作成、証拠資料の整理と翻訳をお手伝いします。捜査や刑事裁判での弁護は行政士の業務範囲外のため、お受けしていません。
期限が迫っているなら、一日が貴重です。電話02-309-3107、メール[email protected]でご連絡いただければ、通知書の内容から一緒に確認し、どの制度が合うかをご案内します。相談時間は平日09:30~17:30です。
